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循環器ウィークリー · 2026年 第43週

論点が「いつ」に揃った週

対象期間 2026年10月22日 – 10月28日 公開 2026-10-31 項目数 14 件

今週の循環器ニュースは、どれも「いつ」という問いに行き着いた。有効性そのものではなく、効果が現れるまで、あるいはリスクが顕在化するまでにどれだけの時間がかかるのかが、デバイス・製薬・予防のそれぞれで前面に出た一週間だった。Boston Scientific は PFA(pulsed field ablation、パルスフィールドアブレーション)のシェア回復時期を2028年と投資家に告げ、J&J は12ヶ月の持続性データを学会で示した。予防側では、41歳時点の冠動脈石灰化が30年後の死亡を予測する大規模コホートと、女性のリスク評価の起点を8歳まで引き下げる4学会合同の枠組みが、3日違いで公表された。

今週の3行まとめ

  1. 01
    Boston Scientific、EP事業が減収に転じ通期見通しを下方修正——PFAシェア回復は2028年
    2026年10月28日

    2026年10月28日

    Boston Scientific が2026年第3四半期決算を発表した。全社売上高は51億3,800万ドル(前年同期比+1.5%、報告ベース・為替調整ベース・オーガニックベースいずれも同率)、調整後EPS は0.73ドル(前年同期0.75ドル)で、同社が事前に示していたガイダンス(売上成長3〜5%、調整後EPS 0.80〜0.82ドル)を下回った。Cardiovascular セグメントは34億600万ドル(+1.9%)。通期見通しは売上成長・報告ベース約4.25%/オーガニック約3.75%、調整後EPS 3.16〜3.18ドルに引き下げられた。

    決算説明会では、EP(electrophysiology、不整脈領域)売上が全社で約5%減、米国で8%減、海外は2%増だったことが示された。経営陣は、次世代カテーテル FARAWAVE Ultra の投入(現時点で2028年初頭の見込み)までPFAシェアの浸食が続くとの見通しを明言し、2027年を底、2028年にEPが「意味のある改善」に転じるとした。2D ICE は2027年後半、FARAFLEX は2029年の投入予定。Watchman も米国で7%減となった。

    8月26日に公表されたサイバーセキュリティインシデントの影響については、第3四半期にオーガニック成長率で約300ベーシスポイント(売上で約1億5,000万ドル)、調整後EPS で0.07ドルと説明された(業務は9月8日に完全復旧)。EP の未達のうち約半分がこの影響で、主に海外だったという。

    PFA を世に出した先行企業が、自社のシェア回復時期を2年先と公言した点が本件の要である。なお、競合の Abbott は10月21日の決算で EP 売上8億7,300万ドル(+15.5%、為替等調整ベース)を計上しており(10月24日号で既報)、対照は鮮明である。

    ※セグメント別(EP・Watchman)の数値はリリース本体に内訳がなく、決算説明会での発言および業界報道による

    出典:Boston Scientific 2026年第3四半期決算リリース(SEC Form 8-K, Exhibit 99.1) / 決算説明会トランスクリプト(The Motley Fool) / MedTech Dive · 確認 2026-10-29
  2. 02
    AHA ほか4学会、女性の心血管ヘルスを「ライフステージ」で組み直す合同コンペンディウムを Circulation に公表
    2026年10月26日

    2026年10月26日

    AHA(American Heart Association)、AAP(American Academy of Pediatrics)、ACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists)、SMFM(Society for Maternal-Fetal Medicine)の4学会が、女児・女性の心血管疾患の予防・発見・管理に関する初の多学会合同フレームワークを Circulation に3報同時公表した。

    中核にあるのは「Female Life Stages」という4区分である。Stage 1 周初経期(perimenarche、おおよそ8〜15歳)、Stage 2 卵巣周期期(ovarian cycling、15〜44歳)、Stage 3 周閉経期(perimenopause、45〜51歳)、Stage 4 閉経後(postmenopause、51歳以上)。妊娠は独立したステージではなく、どのステージにも起こりうる「生物学的ストレステスト」と位置づけられ、妊娠高血圧腎症などの有害妊娠転帰は女性特異的なリスク増強因子として扱われる。

    3報の内訳は、Presidential Advisory(生涯にわたる女性特異的アプローチ)、Scientific Statement(予防・管理の合意ガイダンスと、各学会の既存ガイドラインの対応表を含む)、Science Advisory(女性心血管ケアの Comprehensive Centers of Excellence の構想)。リスク評価の起点を思春期前まで引き下げた点が、従来の「閉経後から」という実務感覚に対する最大の変更である。

    出典:AHA Newsroom(一次情報) / Presidential Advisory(Circulation)DOI: 10.1161/CIR.0000000000001483 / Scientific Statement(Circulation)DOI: 10.1161/CIR.0000000000001482 / Science Advisory(Circulation)DOI: 10.1161/CIR.0000000000001481 · 確認 2026-10-29
  3. 03
    30〜45歳のCAC高値は30年後のCHD死を約3.7倍に——JAMA Cardiology
    2026年10月23日

    2026年10月23日

    CAC Consortium(Coronary Artery Calcium Consortium)のデータを用いた後ろ向きコホート研究が JAMA Cardiology にオンライン公表された。対象は臨床的な適応で CAC(coronary artery calcium、冠動脈石灰化)スキャンを受けた30〜45歳の約1万2,800人、平均年齢41歳、男性77%、追跡期間中央値22.6年。

    CAC 0 が72%、75〜90パーセンタイルが13%、90パーセンタイル超が13%。死亡は計624件(心血管死149件、CHD死81件)。年齢・性別・従来のASCVD危険因子で補正した結果、CAC 90パーセンタイル超は CAC 0 と比べて、全死亡 HR 1.87、心血管死 HR 2.60、CHD死 HR 3.71。モデル推定による30年リスクは、全死亡13% 対 8%、心血管死5% 対 2%、CHD死3% 対 1% だった。

    40歳前後の一枚のCT所見が、30年という時間軸で死亡リスクを層別しうることを示した点が重要である。著者らは、この高リスク群に関する知見が将来のガイドラインに資する可能性があるとしている。

    出典:Choi S, Dzaye O, Dardari Z, et al. Advanced Subclinical Atherosclerosis in Young Individuals and Risk of Mortality Over 30 Years: The Coronary Artery Calcium Consortium. JAMA Cardiology. Published online October 23, 2026. DOI: 10.1001/jamacardio.2026.4819 / ACC Latest in Cardiology(Journal Scan) · 確認 2026-10-29
01 / 心不全

心不全

4 件
2026年10月27日報道、発表は HFSA 2026

Berlin Heals の心筋微小電流療法 C-MIC II / III

HFSA(Heart Failure Society of America)年次学術集会(10月9〜12日、Phoenix)での発表が今週報じられた。C-MIC II は心不全70例のランダム化試験で、GDMT(ガイドライン推奨薬物療法)単独と比較し、6ヶ月時点で LVEF 平均+5.1%(95%CI 3.1〜7.1、P<.001)、6分間歩行距離+144.7 m(95%CI 93.8〜195.6、P<.001)、NYHA クラス+1.14、KCCQ 総合スコア+40.7点。C-MIC III は皮下植込み型システムの10例を C-MIC II 参加者と1:1マッチングし、外科的植込み型に近い LVEF 改善を確認した。資金提供は Berlin Heals Holding AG。※学会発表自体は対象期間外(10月9〜12日)である点に注意。

※二次情報のみ(学会抄録・査読論文を確認できず)

出典:Healio · 確認 2026-10-29
2026年10月22日
試験データ

VisCardia、RECOVER-HF パイロット試験を JACC: Heart Failure に発表

横隔膜同期刺激療法 VisONE(左横隔膜の一部に心周期と同期した電気刺激を与える)の、症候性 HFrEF 35例を対象としたランダム化二重盲検シャム対照パイロット試験。植込み型治療に対する盲検シャム対照評価が成立することを示し、現在進行中のピボタル試験の評価項目設計につなげたという位置づけで、企業リリースには有効性の数値は示されていない。筆頭著者は Duke の Marat Fudim。ピボタル試験(NCT06552637)の主要評価項目はデバイス・手技関連事象からの回避、LVESV(左室収縮末期容量)変化、6分間歩行距離、QOL。FDA の Breakthrough Device 指定を取得済み。

出典:企業リリース(GlobeNewswire) / 論文 DOI: 10.1016/j.jchf.2026.103414 · 確認 2026-10-29
2026年10月22日

POSEIDON レジストリ:米国の心不全患者の約半数で炎症リスクが上昇

肥満、糖尿病、腎疾患、進行した心不全との関連が報告された。

※二次情報のみ(一次発表・論文に到達できず)

出典:Healio · 確認 2026-10-29
2026年10月23日 – 10月25日
学会情報

第30回日本心不全学会学術集会(10月23〜25日、富山)

富山国際会議場ほかで開催。大会長は絹川弘一郎・富山大学学術研究部医学系第二内科教授。テーマは「Pauca sed Matura —狭くとも深くあれ—」。Late Breaking セッション、心不全再入院予防ワークショップ、心不全療養指導士カフェ、市民公開講座などが組まれた。

出典:大会公式サイト(開催概要) · 確認 2026-10-29
02 / 虚血性心疾患

虚血性心疾患

1 件
2026年10月22日

Teleflex の吸収性マグネシウムスキャフォールド Freesolve RMS、PCI 適応で FDA Breakthrough Device 指定

膝下動脈(CLTI)適応での2024年の指定に続く2件目。マグネシウムの99%が12ヶ月以内に吸収されるとされ、first-in-human の BIOMAG-I では4年時の TLF(target lesion failure、標的病変不全)3.5%、2年目から4年目にかけて新規の臨床イベントなしと報告されている。PMA 申請に向けたピボタル試験 BIOMAG-III が進行中。同製品は Teleflex が2025年7月1日に完了した Biotronik の血管インターベンション事業買収(契約額7億9,100万ドル)で取得したもの。

CAC に関する JAMA Cardiology 論文は「今週のトップ3」を参照。

※二次情報のみ(Teleflex 自社リリースに到達できず)

出典:MassDevice / Cardiovascular Business · 確認 2026-10-29
03 / 不整脈

不整脈

2 件
2026年10月22日

J&J、APHRS 2026 で VARIPULSE Pro の実臨床データと OMNYPULSE の12ヶ月成績を発表

APHRS(Asia Pacific Heart Rhythm Society)2026年次学術集会(韓国・釜山)での late-breaking 2演題。両試験はそれぞれ Europace と Heart Rhythm に同時掲載された。

2026年10月22日 – 10月28日

不整脈

VARIPULSE Pro が日本市場で既に使用可能である点は、国内の EP 診療にとって実務的な意味を持つ。

Boston Scientific の EP 事業減収は「今週のトップ3」を参照。

出典:J&J プレスリリース(一次情報) · 確認 2026-10-29

今週の更新

VARIPURE:VARIPULSE Pro プラットフォームの初の多施設実臨床データ。欧州19施設225例(発作性65.8%/持続性34.2%)。急性期手技成功率100%、主要有害事象は1件(0.4%、後遺症なく回復)、脳卒中・冠攣縮・急性腎障害・死亡の報告はゼロ。平均アブレーション時間17.9分、88.9%の症例で単一カテーテルによるマッピングとアブレーションを実施。VARIPULSE Pro は3.8秒のアブレーションパルスシーケンスを導入し、欧州・日本ほかAPAC・LATAM市場で使用可能(米国未承認)。

Omny-IRE:治験段階の OMNYPULSE プラットフォーム(コンタクトフォースセンシング付き大径チップのフォーカル PFA カテーテル)。症候性発作性心房細動136例、欧州13施設。12ヶ月時点で心房細動・心房粗動・心房頻拍の記録された再発からの回避率は、厳格モニタリング下で82.5%、標準診療モニタリング下で90.1%。有害事象発生率2.9%(全例回復)。AFEQT スコアは平均25.5点改善。

04 / 弁膜症・構造的心疾患

弁膜症・構造的心疾患

1 件
2026年10月22日 – 10月28日

弁膜症・構造的心疾患

対象期間(10月22〜28日)に新規の承認・大型試験発表はなかった。10月21日の Edwards Lifesciences(PASCAL Precision)の FDA 承認は10月24日号で取り上げた。

なお、10月31日〜11月3日に TCT 2026(San Diego Convention Center)が開催され、28件の late-breaking 試験が予定されている。構造的心疾患領域では、中等度大動脈弁狭窄症に対する TAVR と経過観察を比較する PROGRESS、三尖弁逆流に対する PASCAL システムの CLASP II TR、左心耳閉鎖後の抗血栓療法を検討する SIMPLAAFY などが含まれる。

出典:TCT 2026 Late-Breaking Clinical Trials & Science · 確認 2026-10-29
05 / 製薬・デバイス企業

製薬・デバイス企業

1 件
2026年10月22日・10月28日

Mineralys Therapeutics、lorundrostat の CKD 関連データを2件公表

10月28日、アルドステロン合成酵素阻害薬 lorundrostat の第2相 Explore-CKD 試験(NCT06150924)が Kidney International に掲載されたと発表。米国42施設の59例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照2期2系列クロスオーバー試験で、対象はコントロール不良の高血圧+ステージ1〜3bのCKD(eGFR≧30)+アルブミン尿(UACR 200〜5,000 mg/g)、背景治療はACE阻害薬またはARBとSGLT2阻害薬の併用。4週時点で、主要評価項目の自動診察室収縮期血圧はlorundrostat 25 mg 1日1回で−9.3 mmHg、プラセボで−1.8 mmHg、プラセボ補正後−7.5 mmHg(95%CI −12.3〜−2.7、p=0.0024)。UACR はベースラインから−30.5%、プラセボ補正後−25.6%(p=0.0015)、24時間UACR はプラセボ補正後−26.1%(p<0.0001)。血清アルドステロンは−41.5%(プラセボ+1.8%)、血漿レニン活性は+75.2%。コルチゾールに臨床的に意味のある変化はなかった。

10月22日には、ASN Kidney Week 2026(Denver)で第3相 Launch-HTN 試験の CKD サブグループ解析を発表。12週時点でプラセボ補正後収縮期血圧はCKD群−9.6 mmHg(p=0.0022)、非CKD群−12.2 mmHg(p<0.0001)、CKD かつベースラインアルブミン尿を有する集団で UACR はプラセボ比−52.2%(p<0.0001)。確認された高カリウム血症はそれぞれ2.4%、0%。

同社は NDA が FDA に受理され審査中としているが、企業リリースに PDUFA 期日の記載はない。

Boston Scientific の決算は「今週のトップ3」を参照。

※Kidney International 掲載論文の DOI は企業リリースに記載がなく、未確認

※一部の二次報道が伝える「12月22日のFDA判断期限」は一次情報で確認できなかったため、本号では採用しない

出典:Explore-CKD 掲載リリース(10月28日) / ASN Kidney Week 2026 リリース(10月22日) · 確認 2026-10-29
06 / 規制・保険

規制・保険(日本)

1 件
2026年10月22日 – 10月28日
規制

規制・保険(日本)

対象期間中、循環器領域の新規の国内承認・保険収載の公表は確認できなかった。

10月28日に全日本病院協会に掲載された厚生労働省保険局医療課事務連絡(保医発1021第1号、令和8年10月21日付)「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」の対象は、テモゾロミドおよびイリノテカン塩酸塩水和物の再発・難治性神経芽腫に関する適応追加であり、循環器領域の品目は含まれていない。中医協総会で直近に保険適用が了承された医療機器4品目(2026年9月16日了承、12月1日収載予定)についても、循環器領域の該当は本号では確認できなかった。

出典:厚生労働省保険局医療課 事務連絡(PDF、全日本病院協会転載) · 確認 2026-10-29
07 / New Watchers

New Watchers(新規参入・注目すべき動き)

4 件
2026年10月22日 – 10月28日

Berlin Heals Holding AG(スイス)

—心筋微小電流療法 C-MIC。薬物でもペーシングでもない第3の経路でHFrEFの左室機能改善を狙う。今週報じられた C-MIC II(n=70)の LVEF +5.1%、6分間歩行距離 +144.7 m は、デバイス治療としては大きな効果量である。ただし単一スポンサー資金、小規模、非盲検の懸念が残り、独立検証が次の関門になる。

2026年10月22日 – 10月28日

VisCardia(米国)

—横隔膜同期刺激 VisONE。今週の JACC: Heart Failure 論文の価値は有効性ではなく、「植込み型デバイスで盲検シャム対照が成立する」ことを示した方法論にある。心不全デバイス領域の試験設計水準を引き上げうる。

2026年10月22日 – 10月28日

Teleflex/旧 Biotronik VI 事業

—吸収性マグネシウムスキャフォールド Freesolve RMS。Abbott の BVS(Absorb)撤退以降停滞していた生体吸収性スキャフォールドの再挑戦であり、今回のPCI適応 Breakthrough 指定で BIOMAG-III の先が見えてきた。

2026年10月22日 – 10月28日

PFA 市場の構図そのもの

—Boston Scientific(Farapulse)、J&J(VARIPULSE / OMNYPULSE)、Abbott(Volt)、Medtronic(PulseSelect)の4社競合が、今週はじめて「先行者の減速」という形で決算数値に表れた。2027年の各社の投入計画が次の watch point。

今週の視点

今週の4つの主要トピックを時間軸の長さで並べると、この一週間の性格がはっきりする。J&J の PFA データは12ヶ月、Boston Scientific の事業回復は2028年(約2年先)、JAMA Cardiology の CAC は30年、4学会のライフステージ枠組みは8歳から生涯まで。偶然ではあるが、今週はどのニュースも「効くか」ではなく「いつ効くか/いつわかるか」を語っていた。

デバイス側で起きたことは、技術的失敗ではない。Boston Scientific の PFA は臨床的に否定されたわけではなく、同社が明かしたのは FARAWAVE Ultra の設計検証・バリデーションに起因する1四半期の遅れと、その間にシェアを失い続けるという見通しである。PFA のような急速に立ち上がった市場では、先行して確立した臨床的地位が、製品投入サイクルの数ヶ月の遅れで容易に逆転しうる。Abbott が Volt の米国フルローンチからわずか2ヶ月で EP を15%成長させたことと合わせて読むと、この領域の競争優位の賞味期限がきわめて短いことがわかる。

予防側の2報は、方向が逆である。こちらは時間軸を伸ばすことで価値を主張した。41歳時点の CAC 高値に対する CHD死の補正後ハザード比3.71 という数字は、絶対リスクとしては30年で3%対1%にすぎない。しかし「40代前半で測れば30年の層別ができる」という事実は、スタチン開始年齢やスクリーニング対象年齢の議論に直接効いてくる。4学会の枠組みが起点を8歳に置いたのも同じ論法で、リスク評価の時計を前に動かせば、介入可能な期間が長くなる。

両者は無関係ではない。デバイス企業が2年先の回復を語れるのは、循環器デバイス市場の需要がそれだけ安定しているからであり、その需要を規定しているのは、予防側が何歳から誰を拾うかという設計である。今週はその両端が、たまたま同じ週に可視化された。

来週以降は時間軸が一気に縮む。TCT 2026 が10月31日〜11月3日(San Diego)で28件の late-breaking、AHA Scientific Sessions 2026 が11月6日〜9日(Chicago、McCormick Place)で23件の late-breaking を控える。AHA では、7月31日に主要評価項目未達が公表された ZEUS(ziltivekimab)の主要報告と、9月4日にトップライン未達が公表された Lp(a)HORIZON(pelacarsen、Novartis と Ionis の共同開発)の全結果が、いずれも11月7日の同一セッションで示される予定である。今年前半に「効かなかった」と伝えられた2剤が、なぜ効かなかったのかを説明する番が来る。

AHA Scientific Sessions 2026(11月6〜9日、Chicago): https://professional.heart.org/en/meetings/scientific-sessions

※late-breaking 23件という件数、およびセッション構成は Cardiovascular Business の報道による(AHA公式の告知ページ本体に到達できず)※二次情報のみ

確認日:2026年10月29日

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